HIGASHIOSAKA
FACTORiesから生まれた
老舗電線製造所が作る延長コード

大原電線株式会社は、東大阪市で50年以上にわたり電線製造を手掛ける老舗の町工場です。近年は安い電線を海外から輸入する企業が増え、かつて東大阪に多く存在した電線工場も、現在では数社のみとなっています。私たちが作る電線は、高い品質と小ロットに対応できる柔軟さとで業界からの信頼が厚く、大手メーカーの電気製品や最新の設備を備えた建築など、華やかな場所の裏側で寡黙に社会を支え続けています。東大阪で生産されるこの高品質な電線を一般の家庭でも使えるようにと、延長コードを作ることにチャレンジしました。

誠実なものづくり

クロスタイプとストレートタイプ、防雨タイプの3種の延長コードは、どのデザインも機能に対してまっすぐで、無駄なディテールがありません。高い電圧にも対応できる高品質な太めのVCTケーブルを用いて、しっとりと柔らかく扱いやすいコードを目指しました。電極と本体を一体成型し、本体からコードまで単一の素材で作られたデザインは、家庭や店舗、建設現場やアウトドアなど、さまざまな場面で活用いただけます。
[Designer’s voice]
電線は社会を支える大切なインフラですが、同時にとても匿名的な存在でもあります。東大阪の大原電線を訪れ、大原さん親子の職人気質のこだわりや、新しいことに挑戦するオープンな姿勢、温かい人柄に触れ、すっかりファンになってしまいました。この工場で生産される電線は、他の工場で作られるものとはどこか違うように感じます。作り手の思いが匿名的な量産品にもオーラのようなものを与えるのかもしれません。工場に流れる空気や、大原さんの実直さ、温かさを、そのまま形にしたいと思いました。

Manufacturer:大原電線株式会社

1958年創業。現代の生活の中で欠かすことのできない「ビニルコード(=電線)」の製造を専門に行う。電線と一言でいってもその実は深く、ある技術においては20年の歳月を費やし完成したという特殊なものも扱う。無彩色の円型断面のものが主流ではあるが、大原電線ではあらゆる色彩、太さ、断面形状の電線を小ロットから製造可能。また金属線だけでなく繊維を用いた線材を作ることも可能であり、常に電線の新たな可能性を追求し続けている。

Designer:鈴木 元

1975年生まれ。GEN SUZUKI STUDIO代表。英ロイヤル·カレッジ·オブ·アート修了。パナソニック株式会社、IDEOロンドン、ボストンオフィスを経てGEN SUZUKI STUDIOを設立。スタジオを自宅に併設し、生活とデザインを隔てないアプローチで、Herman Miller, MUJI, E&Yなど国内外の企業と協業している。GERMAN DESIGN AWARD金賞、IDEA賞金賞、クーパーヒューイット国立デザイン美術館永久収蔵など受賞多数。2023年D&AD賞プロダクト部門審査委員長。